画像利用|葛飾北斎や歌川広重の浮世絵を収蔵「シカゴ美術館コレクション」のダウンロード手順を解説

葛飾北斎の「富嶽三十六景」、歌川広重の「東海道五十三次」や「名所江戸百景」シリーズ等々。

これら日本を代表する浮世絵作品を多数収蔵するシカゴ美術館は、著作権の保護期間が満了した昔の作品をパブリックドメインとして誰もが利用できるように、デジタルアーカイブとして画像データで公開し、ダウンロードできるようにしています。

この記事では浮世絵画像を利用したい方に向けて、シカゴ美術館コレクションの利用方法や作品の探し方、ダンロードから画像利用までの手順を解説しています。

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シカゴ美術館コレクションとは

シカゴ美術館はアメリカの三大美術館の一つです。世界各地の美術品を収蔵し、有名どころではヨーロッパ近代絵画のモネやルノワール作品などが挙げられます。

日本の浮世絵コレクションも世界有数で、代表的なものでは葛飾北斎の「富嶽三十六景」シリーズ、歌川広重の「東海道五十三次」や「名所江戸百景」シリーズなどが挙げられます。

2018年にシカゴ美術館は、収蔵品の中からパブリックドメイン作品(著作権の保護期間が満了したいわゆる著作権フリー作品)を画像データ化し、誰もが作品を利用できるようにデジタルアーカイブを開設しました。

それが「THE COLLECTION」(通称シカゴ美術館コレクション)です。

 シカゴ美術館コレクションTOPページ

もちろんサイトは英語です。しかし英語が読めなくても、サイト上でマウスを右クリックして「日本語に翻訳」を選択すると、英語のサイトが日本語になります。

次にフィルターで日本の作品を選択すると、2024年5月現在で1万3654件ヒットします。さらに絵画名や作家名などで絞り込み検索をすることが可能です。

 日本の作品一覧ページ(13,654件)

検索の方法はのちほど説明しますが、まず驚かされるのが作品数の多さです。

画像をスクロールして順に見ていくと、後半は公開を準備中(画像なしでページのみ仮作成)の作品も含まれています。よって正確な件数ではありませんが、少し時間を置いてサイトを覗くたびに、大きく公開件数が増えています。

シカゴ美術館はTHE COLLECTIONの開設時に、世界的名画など5万点以上のコレクションをこのサイトで公開していると発表しています。しかし公開数は年々激増しており、サイトを見た限り10万点くらい(準備中含む)は公開されているのではないかと思います。

これらの膨大で一つ一つの価値が高い世界的名画や美術品の数々を高画質な画像データで閲覧ができ、誰もが無料でダウンロードして利用できるサイトがシカゴ美術館コレクションなのです。

利用規約について

画像検索からダウンロードまでの方法を解説する前に、利用規約を見ていきます。

まず「画像ライセンスについて」のページを開くと、次のように書かれています(文章は英文を自動翻訳したものです)。

オープンアクセス画像
シカゴ美術館は、パブリックドメインにあると考えられているコレクション内の作品の50,000枚以上の画像を無料で無制限に使用できることを嬉しく思います。このような画像は、クリエイティブ・コモンズ・ゼロ(CC0)の指定およびこのウェブサイトの利用規約の下で利用可能です。

オープンアクセスとは、Wikipediaによると「インターネットを通じて誰もが無料で閲覧可能な状態に置くこと」「クリエイティブ・コモンズのライセンスなどを用いた自由な再利用を認めることも定義の一つに含まれることが多い」と定義されています。

シカゴ美術館コレクションは、著作権フリーのいわゆるパブリックドメイン作品をCC0ライセンス(CC0=クリエイティブ・コモンズ・ゼロの略で、著作権フリーであることを提示したもの)及び利用規約のもとでオープンアクセス画像として、商用・非商用問わず、無償で広く自由利用を認めています。

ここではCC0ライセンスについては「パブリックドメインであることを意味する」とだけ理解できれば十分です。クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)について詳しく知りたい方は、こちらの解説記事をご覧ください。

このサイトでの画像利用の条件は次の2つです。

「CC0 Public Domain Designation」のラベルが付いた画像であること
要は、その画像が著作権フリーのパブリックドメイン作品かどうかを、該当画像のページの「CC0ライセンス」のラベルが付いているかどうかで判断してください、という意味です。

作者の死後70年で著作権の保護期間は満了し、自動的に著作権フリーになります。江戸時代の浮世絵のような昔の作品であれば(さらにこのサイトに公開されているのであれば)基本的にはパブリックドメインと考えて間違いないと思います。

画像を利用する際には、「アーティスト名」「タイトル」「(作品が発表された)日付」「シカゴ美術館」の4項目をキャプションに含めるように求める。

ここまでは「画像ライセンスについて」に書かれた内容です。つづいて「利用規約」のページに進みます。

こちらはTHE COLLECTION(パブリックドメイン作品の公開サイトであるシカゴ美術館コレクション)に限らず、シカゴ美術館のサイト全体の利用規約になっています。

プライバシーポリシー
シカゴ美術館のウェブサイト(以下「サイト」)は、これらの利用規約(以下「利用規約」)に基づいて提供されます。シカゴ美術館(以下「AIC」)は、この投稿を更新することにより、いつでもこれらの利用規約を改訂することができます。サイトにアクセス、閲覧、または使用することにより、制限または条件なしに、これらの利用規約(および修正)を受け入れ、同意するものとします。このページに時々アクセスして、現在の利用規約を確認することをお勧めします。

重要な点として、このサイトの利用規約は改訂される場合があるので、利用時にはこのページにアクセスして確認することをおすすめします、とのことです。

このページでは、先ほどの画像利用の条件に加えて、サイトのリンクを貼ることを推奨しています。

リンク交換ポリシー
シカゴ美術館は、以下のガイドラインに従うことを条件に、あなたのウェブサイトから www.artic.edu にあるシカゴ美術館のウェブサイトにリンクを張ってくださることを嬉しく思います。

インターネット上で画像利用する場合は、先ほどのクレジット表記に加えて、該当サイト(ページ)に飛べるようにURLを貼ってもらえると有難い、というわけです。

ここまでの利用条件はいずれも、パブリックドメイン作品をダウンロードして利用する際の一般的なルールです。それでは実際に画像を探してダウンロードして、ブログなどに掲載するところまでの手順を解説していきます。

画像利用の手順

シカゴ美術館には世界中の名画が収蔵されていますが、今回は日本の作品、さらには歌川広重の浮世絵「東海道五十三次」を事例に手順を解説します。

画像を探すー作品検索とジャンル検索

①サイトを開く
シカゴ美術館コレクションのトップページを開きます。

②日本語翻訳を選ぶ
サイト上でマウスを右クリックして「日本語に翻訳」を選択します。
慣れてきたら英語のままでもスムーズに使用できます。

③作品画像を検索する
目的に合わせて画像を絞り込みます。探し方は「キーワード、作者、作品名で検索」と「フィルター検索」の2種類があります。

 打ち込み検索とフィルター検索

フィルター検索の方法

<日本の作品を選択>
「フィルター」→「PLACES(場所)」→「日本」を選択すると、日本の作品1万3654件が一覧で表示されます。

<日本の作家を選択>
歌川広重の浮世絵作品を探す場合は、「フィルター」→「ARTISTS(作家)」→「歌川広重」の選択が可能です。1593件と作品数が多いこともあり、ARTISTSのトップに表示されます。

「フィルター」→「PLACES(場所)」→「日本」を選択した上で、さらにフィルターから「ARTISTS(作家)」を選択すると、収蔵作品の多い日本の作家が選択できます。この選択一覧に葛飾北斎(479件)の名前もあります。ただしフィルターでのこの作家別一覧は日本の作家全てではないので注意が必要です。

キーワード、作者、作品名での検索方法

<作家名を直接検索>
作者名での検索であれば、「歌川広重」「Utagawa Hiroshige」「Hiroshige」など英語でも日本語でも検索可能です。ただし英語検索か日本語検索かで表示件数が異なります。どの方法でも主要な作品は一覧表示されるのでそれほど問題はありませんが、実感として日本語検索のほうがやや精度が高いように思います。

また、歌川広重や葛飾北斎のようにフィルターで選択できる作家であれば、フィルターから進んだほうがより検索精度は高くなります。

<作品名での検索>
作家名での検索精度は高い一方、日本語での作品名の検索はできません。例えば「東海道五十三次」シリーズを探す場合、「tokaido」と英語でタイトルの一部を検索すれば一覧が表示されます。

具体的な作品を探す場合、まずは「歌川広重」と作家名で検索し、作品の一覧表示を見た上で、そこから直接作品を選ぶか、おかしな日本語訳のタイトルを英語表記(英語翻訳)に戻して英語表記のタイトルで検索をかける必要があります。

 「歌川広重」の作家名で検索

 日本語翻訳から英語表記に変換

 英語タイトルで検索すると、該当の作品一覧が表示される

今回は、歌川広重の有名な浮世絵作品「東海道五十三次」シリーズ(これだけでもかなり枚数が多い)の中から東海道の東の起点日本橋の浮世絵を探すため、「tokaido nihonbashi」で検索しました。

画像をダウンロードする

④作品情報ページに進む
画像一覧から利用したい画像をクリックすると、作品画像とその作品情報のページが表示されます。

1作品につき1ページの「作品情報&ダウンロードページ」

ここで作品の情報を得たり、画像を拡大して鑑賞したり、画像をシェアすることもできます。

⑤作品情報を確認
今回は画像利用(掲載)が目的なので、クレジット用に「作家名、作品名、日付、このページのURL」情報を確認します。ただし作品名に関しては、日本語での正しい表記に直します。

見た目で作品を選んで作品名が分からない場合でも、たいていはGoogle画像検索をすれば作品名が調べられると思います。

⑥ダウンロードボタンを押す
画像右下に3つのボタンがある中で、中央のダウンロードボタン(矢印マーク)をクリックします。

画像がダウンロードできました。

画像を利用(掲載)する

 ダウンロードした浮世絵画像

歌川広重「東海道五十三次 日本橋」1832–1847年(シカゴ美術館所蔵)

⑦クレジット(出典)を記載する
掲載した画像にクレジットを記載し、ダウンロードページのURLを貼りました。これで画像の所有先が分かり、情報源をたどることができます。

下の画像は、この記事のトップに使用した浮世絵です。「シカゴ美術館コレクションにはこのような浮世絵がある」というイメージを掴めるようにと作品を選びました。こちらもクレジットを表記します。

左上:葛飾北斎『富嶽三十六景』シリーズ「凱風快晴」1825–1837年(シカゴ美術館所蔵)
左下:葛飾北斎『富嶽三十六景』シリーズ「神奈川沖浪裏」1826–1836年(シカゴ美術館所蔵)
右上:歌川広重「東海道五十三次 日本橋」1832–1847年(シカゴ美術館所蔵)
右下:歌川広重「ミヤコドリ」1828–1839年(シカゴ美術館所蔵)

テレビや映画などの映像作品であれば、エンドロールでクレジットが流れます。本の表紙や紙媒体の画像であれば、そのクレジットを中のページなどにまとめて記載したりします。

これらと考え方は同じで、webサイトやブログ記事のトップにイメージ画像として使用する場合、ページの最後に出典を載せる、もしくは出典ページを別に設けて「≫出典一覧」リンクを貼る方法などがあります。ポイントは、その画像の情報源(出典)をたどれるようにする、ということです。

↓例えばトップ画像に使用して、記事の最後にクレジットを載せる

まとめと関連情報

この記事では、世界的名画のメッカであるシカゴ美術館コレクションの中でも、日本の浮世絵をテーマに解説しました。

葛飾北斎や歌川広重の浮世絵はとても人気が高く、至るところで使用されています。これらの代表的な作品がパブリックドメイン画像としてどこで手に入るか調べた結果、シカゴ美術館に行き着きました。それ以来、著作権関連のブログ記事のトップ画像などに重宝しています。

作品数が多くて紹介しきれないので、ぜひ作家名で検索して作品を閲覧してみてください。花や植物、動物のかわいい浮世絵作品もたくさんあります。

他にも浮世絵には様々な入手先(デジタルアーカイブとして公開しているサイト)がありますが、葛飾北斎や歌川広重の有名どころを押さえるならば、まずはシカゴ美術館で探してみることをおすすめします。

一方で、より幅広くパブリックドメイン作品を探したい方向けに、総合的な方法論を書いた次の記事をおすすめします。

【パブリックドメインの活用法】著作権切れの書物や浮世絵画像の入手方法と使用のルール
パブリックドメインを活用する際の実践ガイドです。

【作品利用の新ルール】CCライセンスを解説
著作権とライセンスの関係性とは? 作品利用のオープン化に伴う基礎知識と、その代表格CCライセンス(クリエイティブ・コモンズ・ライセンス)の解説記事です。


【デジタルでの創作と著作権】解説記事一覧

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